Research
2023/05/10
5-デアザフラビン(TND1128)によるマウスの脳切片への効果 -β-NMNとの比較-

論文
Effects of TND1128 (a 5-deazaflavin derivative),with self-redox ability,as a mitochondria activator on the mouse brain slice andits comparison with b-NMN

著者
工藤佳久(東京医科大学 八王子医療センター 麻酔科) ,高橋奈々恵(医学博士 東京医科大学八王子医療センター 総合診療部)

NMNとデアザフラビンの作用の比較

本研究では、β-NMNと5デアザフラビンの作用を比較しました。マウスの脳スライスの標本を使用し、脱分極刺激にさらされた際に起こる、細胞質内およびミトコンドリア内のCa2+の濃度変動に対する抑制効果を比較評価しました。

投与後24時間後に、Sir-1遺伝子が顕著に上昇するというデータを基に、24時間後に効果判定の実験を行いました。

その結果、β-NMNおよび5デアザフラビンはどちらも、細胞質内のCa濃度およびミトコンドリア内のCa濃度を制御する作用を示しましたが、5デアザフラビンの方がその効果が100倍以上強力であることがわかりました。

図1,2及び図5,6で示したように、βNMN及びデアザフラビンの細胞質内及びミトコンドリア内の作用を見ると、きわめて安定した生理学的反応を維持できることが示され、これがヒトの脳で再現できれば、強力な脳保護作用を期待することができる。デアザフラビンは疎水性が高くきわめて安定な化合物であるため今後応用が考えられる。

Deazaflavin は、ATP産生を賦活化して
マウス脳の培養海馬細胞の発育を促進する

海馬神経細胞軸索(Axon)の免疫染色画像

培養4日目に、tau抗体にて軸索を免疫染色した。
左はControl(対照群)、右は培養1日目にDeazaflavin(1 μM)を 1回のみ添加した検体処置神経細胞を示す。

海馬神経細胞樹状突起(Dendrite)の免疫染色画像

培養4日目に、MAP2抗体にて樹状突起を免疫染色した。
左はControl(対照群)、培養1日目にDeazaflavin(1 μM)を 1回のみ添加した神経細胞を示す。

オータプス標本におけるシナプスの免疫染色画像

左はControl(対照群)、右は培養1日目にDeazaflavin(1 μM) を1回のみ添加し培養14日目に、VGLUT1抗体にて興奮性シナプス を免疫染色した神経細胞を示す。

実際の論文

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