Research
2023/11/10
ミトコンドリアと免疫老化の関係“エネルギー工場”ミトコンとリアを活性化して「免疫老化」を防ごう

免疫システムは、細菌やウイルスなどの外敵から私たちの身体を守る重要な役割を持っています。しかし、年齢を重ねるにつれてこのシステムは弱くなり、結果として「免疫の老化」が生じます。免疫機能を強化し、老化の進行を遅らせるためには、細胞内でエネルギーを生産する「ミトコンドリア」が中心的な役割を担います。

活動エネルギーを生み出すミトコンドリア

私たちの身体は、推定37兆から60兆にも及ぶ細胞によって構成されています。これら全ての細胞が活動するために、十分なエネルギーを供給しているのが、ミトコンドリアです。ミトコンドリアは細胞内の小さな発電所のようなもので、一つの細胞に一つだけ存在することもあれば、数千個存在していることもあります。このミトコンドリアが、細胞が活動するために必要なエネルギー源(ATP)を生産します。

細胞が必要とするエネルギーの90%以上をミトコンドリアが供給しており、その効率的な働きが細胞を活発に保ち、我々の生命を支えています。ミトコンドリアのこのような活動が、健康な生命活動の基盤となっているのです。

ミトコンドリアが生み出すエネルギーで
免疫システムも機能する

ミトコンドリアは、私たちの免疫系にとっても中心的な役割を担っています。

異物が体に侵入すると、私たちの体は複数の防御細胞を動員してこれらの侵入者に立ち向かいます。この身体の自然な防衛機構を総称して「免疫」と呼び、この過程に携わる細胞は「免疫細胞」として知られています。これには、初回侵入の異物に即座に反応する細胞や、一度遭遇した異物を「覚えておき」、再度の侵入時により効率的に対応する細胞が含まれます。

免疫細胞の活動には、他の細胞と同じく、ミトコンドリアによって生成されるATPというエネルギーが必要です。ミトコンドリアの効率的な機能が免疫細胞にエネルギーを供給し、結果的に免疫力を維持することにつながります。ミトコンドリアはエネルギーを生み出す際に活性酸素も生成しますが、これが過多になると健康に害を及ぼす可能性があります。しかし、ミトコンドリア内の抗酸化物質が活性酸素の負の影響を抑え、病原体に対する攻撃に利用する能力も持っています。

さらに、ミトコンドリアは免疫系の調整者としても機能します。細胞が損傷した場合には、その細胞を安全に処理し、免疫細胞の過剰な反応を抑えることで体内の平衡を維持する役割を果たします。

基礎代謝が低下する

ミトコンドリアのエネルギー産出が変化することで基礎代謝も左右されます。数が減って機能が低下すると食事がエネルギー変換されにくく、体脂肪も蓄積されやすくなります。
※基礎代謝・・・生命を維持するために最低限必要なエネルギー量のことで、寝ている間も必要とされるエネルギーのこと。

がんや糖尿病、脳梗塞などのリスクが高まる

ミトコンドリアの機能低下により、活性酸素が多く分泌されるようになり、がんや心臓病、脳卒中などの生活習慣病にかかるリスクが高くなります。

筋力が低下する

ミトコンドリアは細胞分裂に必要なエネルギーを産出するため、骨格筋の形成に関わり、筋肉量を左右します。金細胞の分裂・増殖が低下すると、年齢とともに筋肉も減少していきます。

脳機能が低下する

ミトコンドリアは神経細胞にも豊富に存在。そのため、機能が低下すると脳機能の低下や認知症、うつなどの原因となることも。

見た目の衰え

ミトコンドリアはカラダのメリハリに欠かせない筋肉や肌細胞を産出するエネルギーにも関係しているため、スタイルや肌の老化も左右します。

免疫老化を防ぐカギは、ミトコンドリアの活性化

体力が年齢とともに衰えるように、免疫力も時間が経つにつれて弱まります。年齢を重ねることは避けられない現実ですが、免疫系の老化をできるだけ遅らせ、免疫細胞が活発に機能し続けるためには、それら細胞に力を与えるミトコンドリアの活性化が鍵となります。

最近実施された、”人口10万人あたりの100歳以上の高齢者数”が日本一の『奄美諸島』関する研究では、奄美諸島に住む高齢者の体内のミトコンドリアの分裂・増殖は、20〜30代並みに活発であることが判明しました。

5-デアザフラビンは、ミトコンドリアを活性化させ、ミトコンドリアがエネルギーを生み出すための手助けをします。ミトコンドリアが細胞を動かすエンジンだとすれば、5-デアザフラビンはエンジンの動きを円滑にするエンジンオイルのような関係です。そのほか、細胞内には「長寿遺伝子」と呼ばれ、寿命に関連すると考えられている遺伝子がありますが、5-デアザフラビンはこの遺伝子をも活性化し、ミトコンドリアを元気にするという報告があります。 私たちの体にとって非常に重要な役割を果たすミトコンドリアですが、年齢を重ねるとともにミトコンドリアの機能は低下するため、中高年になればなるほど、ミトコンドリアを活性化し、免疫システムを若く保つことが重要です。

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